RADWIMPS「有心論」CDレビュー |
メジャー1stシングル「25コ目の染色体」、そして前作の「ふたりごと」に続くこの「有心論」で、RADWIMPSのラブソングは一つの頂点に到達したと言ってもいいかもしれない。デビューからまだそれほどに時間もたっていないのに、恐るべき速度だ。 基本的に、曲中で歌われている内容は以前と変わらず、僕と君を中心にして語られている。だが、明らかに異なるのは肝心の「君」がもう居ないことを描いている点。これはある種、別れの歌なのだ。 別れ、と言うとどうか行かないでと懇願したり、昔はあんなことがあったねという趣旨になりそうなものだが、野田の書く歌詞はやはり独特だ。 “君があまりにも綺麗に泣くから僕は思わず横で笑ったよ すると君もつられて笑うから僕は嬉しくて 泣く 泣く” “誰も端っこで泣かないようにと 君は地球を丸くしたんだろう? だから君に会えないと僕は 隅っこ探して泣く 泣く” 自分自身を描写する際に、これほど「僕」が「泣く」とはっきり書くことも珍しい気がするのだが、どうして泣くのかということが驚くほど冷静に説明されている。好きな人と別れるのだから感情的になるのが当然であるのだが、野田はそんな自分すら俯瞰する目を持っている。そうすることで当事者である自分を切り離して物語を書き進めることができるのである。愛する人は去ってしまった、ああ悲しい、では決して終わりにしないところが非常によくできている作品だ。 さて、これまであらゆる楽曲で愛する人のことを歌ってきたわけだが、次は一体どんな手でくるのだろう。恋愛ネタはもう聴き飽きた、という意見もアリだろうがそれこそが彼のテーマであるとするなら、まだまだ掘り下げる余地だってある。いずれにせよ、RADWIMPSというバンドに私たちはまだまだ驚かされるのだろう。 〜written by 音楽ライター村田那音 〜
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