RADWIMPS「25コ目の染色体」CDレビュー |
例えば、一般にラブソングと呼ばれる曲でどんなことが歌われているだろう。「君のためなら死ねる」? はたまた「いつまでも一緒にいよう」? 愛する人への思いを歌詞にのせて伝えるという手段には本当にいくつもの表現方法がある。 この「25コ目の染色体」でも、“I will die for you and I will live for you”と歌われている。これ自体は凡庸な言い方、というか多くの人が共感できる感情だろうとは思う。しかしこの後、歌は次のように続く。 “いつか生まれる2人の命 その時がきたらどうか君にそっくりなベイビーであってほしい 無理承知で100%君の遺伝子 伝わりますように 俺にはこれっぽっちも似ていませんように” 間違いなくRADWIMPSを特徴づけるのは、ボーカル野田洋次郎の感性だ。歌詞の多くは彼の実体験を元にしたものであり、雑誌のインタビューなどでも恋人に向けて歌ったものであることを公言している。高校生時代、自分のことが嫌いでしょうがなかった頃に彼女と出会い、人生観、人間に対する考え方までガラリと変わったという野田の歌詞はまるで私小説のように彼の「語り」によって構成されている。そして、普通ならば万人に共感してもらえるような言い回しにするところを、独自の言葉使いで書くことに徹底している。そこが逆に同年代から多くの支持を得るきっかけとなった。つまり「ああ、この気持ち分かる分かる」のではなくて、「ホントは自分もこんなこと思ってるのかもしれないな」、あるいは「自分もこんなふうに思いたいな」という感情を抱くのである。 先に述べた部分だけを読むと、ただ自分を否定しているだけかのように見えるかもしれないが、真意はさらにその向こうにある「君に対する強い気持ち」だ。自分の価値観を変えてくれた君がいるから、今の自分が生きていられる。だからこそ、そんな君がすべてにおいて優先する、自分のすべてが君になることを願うのだと。 “生まれ変わって まためぐり合ってとかは もうめんどいからなしにしよう 一つの命として生まれよう そうすりゃケンカもしないですむ どちらかが先に死ぬこともない” 〜written by 音楽ライター村田那音 〜
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