NIRVANA〜アーティストレヴュー

いわずと知れたグランジキング、カート・コバーン。そして今やフーファイターズの顔として有名となったデイヴ・グロール。そんな彼等が在籍していたバンドNIRVANA。これまでにも、またこれからも幾度となく語り継がれていくであろうその功績と影響は計り知れない。

94年カートの衝撃的な死により活動にピリオドを打つが、あれから10年以上経った現在でもあらゆるロック雑誌の表紙を飾るなど人気は絶大だ。破壊的衝動に満ちたLIVEパフォーマンスに加え、楽曲に込めた世界観を見事なまでに表現したカートのヴォーカルは強烈なバンドアンサンブルを纏い多くの感性を揺さぶり、彼等の遺伝子を持つフォロアーは後を絶たない。

結果的にNIRVANAには二人の優れたソングライターが居た事になるが、レノン&マッカートニーのBEATLESに代表されるようなソングライティングスタイルからなるバンドではなく、デイヴはドラマーとしてバンドの重要なファクターとなり、うねるようなクリスのベースと共にカートが紡ぎ出す旋律を支えた。やはりNIRVANAというバンドはカート・コバーンそのものだったといえよう。

〜自分が望んだ以上の成功〜はカートにとってあまりにも大きな代償となったようだが、

「望んだ”以上”の」・・という”量”の解釈というよりは、むしろ”質”の問題ではなかっただろうか・・・ いずれにしてもその真意が語られることは永遠にないが、今年06年日本で公開された映画「ラストデイズ」はカートの最期の日々を監督ガス・ヴァン・サントが独自の空想的視点で描いた作品になっている。

彼の攻撃性はその繊細さを内包するかのように豊か過ぎる感性の中で同居しているようにみえるカート・コバーン。バンドの顔からグランジの象徴、そしてロックアイコンへと昇華していった夭折の天才は、希代のロックスターと呼ばれNIRVANAというフィルターを通しロックを映し出していく。

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