松浦亜弥「T・W・O」CDレビュー

＜アルバム概要＞
　２００２年の総決算！「桃色片想い」〜「草原の人」までを収録して新曲も盛りだくさん、というお腹いっぱいの内容。全体としては、一般的な“あやや”のイメージを大きくは崩さない様な流れになっていますが、ここにあるのは、１曲１曲まぎれもなく１アーティストとしての“松浦亜弥”と、つんくの音楽性の広さが詰め込まれています。もちろんブリブリのアイドルな彼女ですが、この松浦亜弥を“あやや”としかとらえていない人にはすべてを感じとることは出来ないです。そういった意味ではコアですわ。コンセプトは「ある女子高生の一日」（だったっけ）らしいですが、曲はそんだけのもんじゃないぞぉ〜。ではかいつまんでオススメ曲紹介を。

１ Yeah！めっちゃホリディ
再生ボタンを押すといきなりこの最強のブリブリ曲からスタートです。すぐにパアーッと彼女のアイドル世界が幕開きます。単なるシングル曲としてではなく、あややワールドの入り口としてこの『ズバッと！』感じてください。

２ The 美学
２歩目を踏み入れると、そこにはまた違ったイメージを植え付けるこのヒット曲が待ち構えます。「めっちゃホリディ」とは違って、この曲はシングル曲として聞いてもらえれば後半グッと来るものがあるかもしれません。

３ あなたの彼女
イヤでも馴染み深かった１，２曲目から１転、ミディアムテンポな新曲が響きます。前アルバムでも見せてくれた、動とも静ともとらえがたい切ないメロディに、絶妙に胸を打つ間奏がキいてます。仲がいい系の恋人同士でも「スキだと言われてみたい」、という切実な願いがかなり強烈に伝わってきます。

４ 桃色片想い
さあはじけましょう。♪胸がキュルルン♪ あやや最大のヒット曲を、心行くまでお楽しみあれ。まだまだ先は長い！しっかり勢いつけましょう！

５ ダイアリー
日記は日記でも自分の恋の心情のダイアリー。だんだん恋に変わっていく様は、聞いていてドキドキ…(..;)　僕は男ですから分かりませんが、女の子はこういう純なトキメキをくり返してるもんなんでしょうかね。日記を読み上げた（セリフ）後の悲しげなバイオリンの音に涙！これでプラス★

６ SHINE MORE
つんくのパクリオンステージのはじまり〜っ！この曲は…最近では島谷ひとみあたりに見られる民族音楽でしょうか。変則コードに打ち鳴らす小太鼓、そう、砂漠で踊ってるみたいな感じ。不思議に入り込んできてＧＯＯＤ。歌詞は意味不明。

７ SHALL WE LOVE？(松浦Version)
ごまっとうの曲の松浦１人ヴァージョン。といってもリミックスが施され、アルバムの１曲としても十分通用してます。てかこのヴァージョンの方が確実にいいと思う…。原曲にプラスした感じのミックスで、悪い方向に１歩も進んでない高レベルな曲に仕上がりました。

８ From That Sky〜替え玉は硬メンで〜
こんな松浦が見たかった…！今までになくハードなあやや、ここら辺完全にアーティスト色出してます。イメージとしてはハードな方のDo As Infinity、いやシンバルのリズムを早めにすればB'zが歌っても全然違和感ないくらいですわ。ただハードなんじゃなくて、サビのメロディーで馴染みが出るところが本当にB'zにそっくりで高評価。エレキギターの使い方も、今までつんくになかった一般的で重厚なロックリズム。絶対おすすめ。

９ デート日和
お次のジャンルは…ああ、ああこれは何て言う部類の音楽なのかな。ロッソ？テキサス？あのー、堂本剛の「溺愛ロジック」あるでしょ。あれです。編曲あのまんま。激しいリズムを刻んで、♪ジュワッジュワッ ジャッジャッ ジャーンジャーン♪ 現代人大好きなノリですから心配ご無用、なところがすごい。

１０ 草原の人
この“あやや”としてはスローに聞こえる最新シングル曲ですが、このアルバムでもハードな曲とリズムテンポの曲に挟まれ、一層特別感を増しています。それだけ切なく染みてくることこの上なし。

１１ ナビが壊れた王子様　　
なんだ〜！これは〜！そのまま何かの少女系アニメのオープニングに起用できます。アニソン界の編曲者が好んで使用する音をフンダンに使い、それをアップテンポなリズムで流すこの技法はマジそのまんまです。それでこのサビの使いまわし！これはイイ！アイドルの一般曲では、ありそうでなかったアニソン系の曲です。こうしてたまに突かれた様に奏でられると、たまらなくいい感じしますわ〜。

１２ 元彼
曲としてはまあまあな感じ漂う、ラストをしめる曲です。サビが壮大なバラード曲はつんくはあんまり得意じゃないみたいですけど、相当がんばって作ってることわかる曲ですな。こうして「ある女子高生の一日」の恋は、結局苦い思い出と“成長”を残し、本人は家族のもとへと戻り再スタートを切ることになった…ってことかな。

＜編集後記＞
１人のアイドルが、これだけこの１枚のアルバムという限られた世界で暴れまわっているのは、僕はいまだかつて見た（てか聞いた）ことなかった。俺の中でただ一辺倒に好きだったものが、このアルバムで次の１歩に進んだ気がしたな。つんく系＝アイドル　という構図が出来上がって久しい。今まで確かにそうだった。しかしこのアルバムは、その気をはじめて吹っ飛ばしたと言っても過言じゃないほど今までよりバラエティ豊かで、そして何しろ松浦亜弥を１人のアーティストとして感じることができた１枚であった。俺、つんく部隊をまた見直した。やっぱ、いや本当にただものじゃない。これマジ。見ての通り全曲GOODだし、アイドルの曲嫌い、とか松浦は…とかいう人にオススメ。１回聞いてみてください。

〜written by　音楽ライター どらごん〜
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