EXILE『Styles Of Beyond』 CDレビュー


<アルバム概要>
 快調にヒット曲を量産しているEXILEから、2枚目のアルバムが届きました。Styles of beyond…さらに上を上を目指していて、このアルバムはその名に恥じない非常にハイレベルな内容であります。ヒット曲をふんだんに含んでいるのはもちろんのこと、アルバム曲、イントロなどもスタイルを崩さない、妥協していない聞き応えのあるものばかりです。基本的にはR&B色が濃いですが、誰にでもおすすめできる1枚でありましょう。前後2曲ずつがインストというシェルター法も極上で、本当にあたりさわりなくじっくり聞けます。貴重です。

 ではかいつまんでオススメ曲紹介を。

1 Intro
ラジオでEXILEを聞いているのでしょうか。ノイズと共にこれまでの彼らの代表曲がスライドされていきます。始まりを感じさせるには結構いい演出ではないでしょうか。

2 ESCAPE
イントロの「Kiss you」が終わると、さあいよいよ本番!とばかりに少し足早に…そしてだんだん小走りになっていく感じにインストが流れます。リズムサウンドに混じるカカカキューンというDJのスクラッチがたまりません!カッコイイ!

3 Sandcastles
オープニングインストのカッコヨサそのままに、ダークな低音和製R&Bが続きます。この辺とってもEXILEらしい。「僕らの探し続ける夢はいつも砂の城のように、築いては消されていく…」詞も粋ってます。

4 Kiss you
短めの3曲目が威勢よく終わると、聞きなれたATSUSHIのボイスがすばらしいリズムと共に辺りの空気を変えます。♪「抱きしめたら KISSをしよう」と。ホント、今や彼らの代表曲と言えるすばらしいナンバーです。ATSUSHIとSHUNの歌のうまさが改めて感じ取れる。

5 Ring your bell
「Kiss you」が比較的落ち着いた感じだとすれば、少しハイテンポになって僕らと踊りだします。HO〜HEY!の掛け声から始まり、♪Ring your bell〜と最高潮。少しハイテンポと言ってもEXILEのどっしりと構えたサウンドを崩さず、非常に冷静なダンスミュージック。サビ後半の伸びが高得点でイチオシ!

6 wishes
EXILE、静の最高峰。完璧な曲です。ミディアムテンポに心地よいリズムが混ざり、サビでハモリを堪能できる。それに加え親しみやすいメロディーに「君の夢をつかまえる」系の詞。シングルカットするなら絶対にこの曲しかないです。彼らにとっても自信曲のようです。

7 羽1/2
「wishes」の綺麗な流れをそのまま推移させ、もう1発静のEXILEを放ちました。どうやらSHUNのソロのようですが、この2人の声の区別ハッキリ言ってわからないので。EXILEヴォーカルの個々の力を見せつけられました。完璧、ハイレベル!

8 Distance
ご当地6thシングル。「EX-STYLE」ではラストを飾る名曲でした。シングルの時も味わい深い曲という印象ありましたが、アルバムに入ってきてもしっかり中核を守る役割をこなしています。静のEXILE爆発3連発のラスト最強!「EX-STYLE」の中からこの曲を選んだのはなかなかやりますが、どうせなら「Blade」も入れて欲しかったなー。

9 Release yourself
えー、僕この曲最強だと思います。感じ的には「Fly Away」系統の極上リズムR&B。スタジオで完璧に踊りこなしている彼らの姿が目に浮かびます。そして僕が気に入ってるのはこの全体に渡ってメロディーの根となっているギターの音。繰り出される協調音にやられました。サビはどっかで聞いたことが…と思うとtrfの「EZ DODANCE」に似てるような気もします。ルーツは一緒なところにあるようですな。

10 Cross〜never say die〜
あんまり積極的ではなかった5thシングル。メロディーがちょっと変則なところが特異なところですが、それ以外には長所が見られない点が残念なところです。サビは印象的で結構残るんですけどね。

11 can't say words
どこかで聞いたようなグランドピアノの音が響きながら、ベースが大軸を成しているリズム曲。本当にスタンダードなこの国のメロディーをうまく生かした曲が多いですね。天才はこうなるもんなんでしょうか。サビは後ろが歌っているようで、メインの2人がWow〜Yeah〜に徹しているのも面白いところ。

12 Guilty
イントロで張り裂けんばかりのエレキのおたけびと、重いベース、B'zが多用するオープニングというイメージあります。ぼくはとっさに「MOVE」を思い浮かべました。しかしこれだけ違う音を入れても、全然EX-STYLEを崩してないところはすごい。サビもしっかり保ってるし、ハモリもキメてる。EXILEマニュアルでもあるんでしょうか。

13 We Will〜あの場所で〜
まだ新曲として記憶に新しい最新シングル。あまり売れませんでしたが、アルバムも終盤を迎えここぞというときにこのような素直な名曲はホッとするところです。ホントにくい。

14 song for you
けっこうヒットした静のEXILEの代表曲。ハープのような綺麗な弦楽器の音も聞こえる、なかなかヒット性のあるいい曲だと思います。声量とハモリが最大限に生かされてるところがポイント。但しその中にちょっとコアな部分があるため、控えめに聞こえるのかも。

15 S・O・B
「Song for you」で一応本編完結。シェルター部分に突入します。2曲目と対になっているようなこの15曲目。映画の最後に流れるスタッフロールのバックミュージックみたいな。俺たちゃ、EXILE!というキャスト紹介っぽいリズムロック。

16 。
「。」ですか。1曲目と対になってる感じ。アルバムを録り終えたあと部屋に戻ってラジオを聞きながら、留守番電話のチェックです。この電話の相手が面白いです。m-floのバーバルや、キングギドラのジブラさんとかが、アルバム完成のお祝いを述べていきます。

<編集後記>
非常に完成度が高いアルバムを1stに続き2ndでも聴かしてもらえた。自分たちのスタイルを崩さない曲調と、高レベルのヴォーカルか結びつき、こういうものを残せている。そもそもEXILEというグループは天才の寄せ集めで成り立ったユニットである。元ZOOのメンバーで「Japanese soul brothers」を結成したリーダーのHIRO、「BABY NAIL」というダンスグループのメンバーであったMATSU、USA、MAKIDAI。彼らはDCTやMisiaなどのバックダンサーを務め、そのパフォーマンス性に高い評価を得たのだという。この4人にヴォーカルSASAを加え「Luv Delax」結成。これがEXILEの前身である。そしてSASA脱退後、CHEMISTRYを輩出したオーディションで、うますぎて落選したというATSUSHI、山口のオーディションで優勝したSHUNという2人のヴォーカルを加え現在に至る。ダンスのプロ、ヴォーカルのプロ、そしてユニット編成のプロが召集されて誕生したのがこのEXILEなのである。これからもさらに期待していいと思う今日この頃、ブームの風は彼らにどう吹くか…。

〜written by 音楽ライターどらごん 〜
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