arpの楽曲を始めて耳にしたのは、偶然立ち寄った古本屋だった。店内を意味もなく回っている私の耳に飛び込んできた有線ナンバー。一瞬のうちに全身に鳥肌がたった。ゆっくりとしたメロディに力強い女性ボーカルの声。何かに訴えかけるような歌い方。全てに魅了された私は、本を手に取ったままそこから動けなくなった。溢れそうな涙をこぼれないようにぐっと目を閉じた。
もう一度聞きたい・・・。そう思ったが有線で再度流れる可能性は低い。誰の曲かも題名さえもわからないその曲を探す為、家に帰った私は、有線のHPで、うる覚えの歌詞から推測される題名の曲を探し出した。arpで「桜」。arpで検索すると見事にひっかかった。arpのオフィシャルサイトにたどり着くと緩やかなメロディがBGMとして流れていて、またそれが涙を誘うのだ。
arpは女性、男性の二人組み。名前の由来は、インターネット用語の”address resolution protocol”の頭文字を合わせたもの。日本語に略すと”みんなつながっているはずなのに、どこにいるかわからない”となり、それを手助けするのがarpと書かれている。濱田貴司ことHAMAと大宮あん朱ことANZU。まさに天才的な楽曲アレンジと歌声だ。ここまで一瞬にして魅了されたのは、過去をさかのぼっても記憶のうちには無い。
アルバムが一枚だけ出ているが、11曲の楽曲全てがarpの本質的な質の良さを表している。一曲目から結婚式に使えそうなバラードに始まり、力強い歌声でバラードやミディアムテンポを歌い上げ、最後は自分自身の弱さを歌った曲で締めくくる。通して聞いても最高だし、一曲ずつ聴くのもお薦めだ。どちらにしても、arp
の世界観には独特のものがあり、少なくても私に多大な影響を与えたのは事実だ。今回のこのアルバムを聞いて、人の生きる強さと弱さを教えてもらった気がする。
何度聞いても、同じところで繰り返し涙が溢れそうになる。泣くということは、心を洗い流す作業と似ていると私は思う。arpの曲を聴いて、少し切ない気持ちになって、一人きりの夜に泣いて、辛い事や抱えている痛みを洗い流し、癒してまた新しく生きる事を前向きに捉えられるようになった。そんな力を持つarpの楽曲をこれからたくさんの人に聞いてもらい、少しでも弱い自分を受け止めて強く前向きに生きていくひたむきさを手に入れてほしいと、arpの歌を聴きながら、今私は強く願った。今後のarpの活動に期待を込めながら注目して行きたい。
〜written by 音楽ライター 愛夏〜 ・原稿依頼は→メール(愛夏)
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