ランクヘッド・アーティストレビュー


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‘青’‘孤独’‘絶望’。ランクヘッドを表すのに、この3つは外せない言葉だ。しかし、2005年の彼らには、その単語だけでは表現できない変化が起きた。その象徴となるのが、3月にリリースされた5thシングル『体温』である。作詞・作曲を手掛けるボーカルの小高がここで歌ったのは、ただ生きているということへの‘愛おしさ’。

当たり前のことだが、人間誰しも生きている。しかし、そのことに気づいたことが大きいのだ。自分だけでなく、君も、あなたも、彼も、彼女も、みーんな生きている。生きているから笑えるのだし、傷つきもする。ただ生きている。この曲には「どうせ僕は孤独なんだ」という卑屈な精神は微塵も感じられない。あるのは、ただ相手と繋がろうと必死に手を伸ばす姿だ。

よってつまり、このシングルを収録した2ndアルバム『月と手のひら』が全編通して誰かから手を差し伸べられているかのような温かさに満ちているのは、必然なのだと思う。そもそもなぜランクヘッドにこのような変化が起きたのかというと、それはライブなどで出会ったファンの力だった。向こうは精いっぱい愛してくれているのに、自分は怖くて目すら合わせられない。

ステージ上で歌うのも孤独や絶望を綴ったものばかり…。そのとき小高は感じたのだ。それでは寂しすぎる。やっぱり、人との繋がりを歌いたい、と。傷つくとしても、前を向きたい。自分も愛したい。そうした感情の変化が鮮やかに露呈された2ndアルバムには、多彩な楽曲が並んでいる。幼い頃に感じた無敵の気持ちを歌った『月光少年』や、大切な人が亡くなり、その人に捧げたという『グッド・バイ』――この曲はとりわけイントロのアレンジが実験的ですばらしい――、サビ部分が印象的な『姫百合の花』、タイトルからして以前の小高では歌えなかったと思う『自分を愛すと決めたんだ』。

リード曲『月と手のひら』では夜道を帰る息子と父親を通し、子供への大きく強い愛情を描いている。<様々な愛の形>。それこそ、この作品のキーとなるところだろう。そしてもちろん、サウンド面でも大きな飛躍を遂げている。『グッド・バイ』や『姫百合の花』に象徴されるように、今までのランクヘッドにはなかったタイプの楽曲が収録され、それらは現在ライブにフックを付ける曲ともなっている。

そして、そのアルバム後にリリースされたのは、‘世界でもっとも美しいもの’という意味を持ち、星の名前でもあるタイトルが付けられたミニアルバム『プルケリマ』だった。この作品は、2ndアルバムを越える衝撃を私にもたらした。キャッチーで、ポップで、孤独で、そしてきらめいている。人間本来の哀しみが混沌と流れながらも、それを優しい光が包んでいるのだ。さらにおもしろいことに、彼らの初音源である『影と煙草と僕と青』を彷彿とさせるモチーフが散らばっている。ここへ来てようやく、ぐるっと一周したのかなあ。そんなことを思い、うれしくなった。

2006年は、まずシングルという形で音を届けてくれるだろう。さて、これからどう脱皮していくのか。新たなランクヘッドに、期待せずにはいられない。

〜written by 音楽ライター・ミキモトサリー
執筆依頼に関して


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