◆「WINGS OF LIGHT -THE GATES OF
HEAVEN-TOUR / 松任谷由美」解説
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このビデオ「WINGS OF LIGHT "THE GATES OF
HEAVEN"TOUR」は、ユーミンの1991年に発売されたライブビデオです。この頃というのはトレンディ・ドラマの主題歌などでユーミン大活躍状態でしたよね! 当時デート中の車でかけるBGMは、みなさんユーミンだったと言っても過言ではないでしょう。違うかな?(笑) まあそれほど当時売れてましたよ!
ではこの作品に関してはビデオにインクルードされているインナーから、ディレクターのマーク氏とユーミンの解説をお届けしましょう!
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★director : Marc
Brickman
話の始まりは1990年2月、ポール・マッカートニーの東京公演の時だった。ポールのコンサート・デザイナー兼ライブ・ディレクターとして来日していた僕は、ある人の紹介で松任谷氏とユーミンに会う機会に恵まれたんだ。
コンサートの後、松任谷氏とユーミンと一緒に楽しい夕食をし、そしてその晩の終わりには6月のユーミンの武道館でのコンサート(LOVE
WARS)
を僕が観に来ることで皆の意見が一致した。話に勢いがあったから、アメリカからわざわざコンサートを観るために日本に来るという案外たいへんなことをやろうとしている割には即断だった。実際に初めて目にしたユーミンのパフォーマンスとその最新技術を駆使したステージに冗談じゃなくイスからころげ落ちるほどビックリした。そしてその驚きは、僕に今回の「天国のドア」の照明デザインとステージプランを引き受けさせるに十分だった。
そして11月、「天国のドア」ツアーがスタートする直前の、滋賀県大津でのリハーサルの時、松任谷氏と僕はこのツアーをフィルムに収めることを決めた。この素晴らしいツアーを日本中のファンに是非とも、見てほしいって感じたからなんだ。
今年の1月には制作準備が始まり、僕らは3月の大阪公演でフィルムを回すことに決めた。本番の撮影は今までになかった程楽しかった。それは何といってもユーミンのコンサートスタッフと大阪城ホールのスタッフの協力によるところが大きかったと思う。
最後に、数々の暖かい想い出をわかちあったたくさんの日本の友人に「ありがとう」と言いたい。そして僕のビジョンを信じてくれた松任谷夫妻、日本のスタッフと僕たちをつなぎとめる
"接着剤"
でいてくれたビノ本田、すばらしくテキパキと仕事を進めてくれたマネージャーの大竹さんと海津さん、そしてずば抜けた仕事をしてくれた僕のプロディーサー、ジョン・ホプグッドとスティーブ・カーターにも心から感謝したい。Thank
You, Japan.
★松任谷由美
去年、リハーサル中のいつだったか、ポール・マッカートニーやディウ゛ィット・ギルモアより、私の方が少しは動けるでしょ?
と言ったら、マークは、いたずらっ子のようにやっと笑った。あれは次なる思いつきのサインだったのかもしれない。
「天国のドア」の初日をむかえる頃には、現場の誰もが、彼の才能と情熱に完全にK.O.
されていたので、ビデオの申し出は本当にうれしかった。それから、予算、日程、もちろん内容、あらゆる調整が始まった。
大阪の四日間は、想像をはるかに越えるハードさだったけれど、ステージ上を縦横無尽に迫り来るカメラは、まるでマーク達の血の通った分身のようで、私達はプレイしながら、それらと自由にたわむれた。海外の有名アーティストはスノッブで、映像側の思い通りには、なかなか撮らせてはくれないそうで、そんなカメラマンの話にも、かえって、何でもやってやろうじゃないかという意気込みを持つようになった。バックステージでは、20人近い通訳の人たちや、イウ゛ェンター、プロモーターが献身的に動いてくれていた。お客様もすごく燃えているのがわかって、改めて大きな愛を感じた。
最後のシュートを終えてホテルに戻ったら、自分が前よりうんと素直な人間になれたような気がして、少しメロウになっていると、下のバーから電話があり、異人チームが盛り上がっているからすぐに来いと言う。みんな異口同音に、「こんなすごい仕事ははじめてだ!」とキスの嵐でむかえてくれた。午前2時をまわった大パーティー。困惑しきったウェイターにあやまりつつも、このさわぎを収拾するだけの語学力がなくて良かったと思う。あの明け方、部屋から見下ろした、灯の消えた大阪城ホールは忘れられない。
やがて届く「天国のドア」のライブビデオは、私の人生の大きな宝物だ。だって、これからも自分のステージをリアルタイムで見ることは決してできない(ということにかけては)
世界一不幸な私への最高のプレゼントだから。
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では懐かしのヒット曲満載のユーミン・ライブを存分にお楽しみくださいね! デート中のアマ〜イ思い出も甦ってくるかも知れませんよ(笑) 青春時代をもう一度味わおうよ!
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