◆「ME AND MY GIRL 〜宝塚歌劇
月組公演/ FEATURING YUKI AMAMI 1995 / 宝塚歌劇団」解説
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■物語
1930年のイギリス。ロンドンのヘアフォード伯爵家では当主が亡くなったため、妹の公爵夫人マリアが家を切り盛りしていた。遺言により当主の一人息子が世継ぎとされたのだが、この世継ぎは亡き伯爵の落し胤で長年行方不明であった。ヘアフォード家の専任の弁護士パーチェスターに行方を捜させた結果、ロンドンの下町ランベストに住むビル・スナイブスンという青年と判明し、呼び寄せることにした。
この話を聞いて心穏やかでないのは公爵夫人の姪ジャッキーとその婚約者のジェラルドである。二人はヘアフォード家の財産をアテにしていた。怒ったジャッキーはジェラルドに婚約指輪を投げ返し「新しい世継ぎをモノにするわ」と言い出す始末。
このため急遽親族が集まり、公爵夫人から説明を聞くと、公爵夫人とジョン卿の二人が遺言執行人となって、その世継ぎが伯爵家に相応しい人物かどうかを判定して、爵位と財産を相続させる事になっているというのである。ところが、現れた世継ぎは粗野な言動とコクニー訛り丸出しの青年であった。
これには公爵夫人も大いに驚き、格式高いヘアフォード家の世継ぎとして恥ずかしくないように、行儀教育を行うことになった。そこで絵画や文学や人生についての指南役を買って出たのがジャッキーで、ビルの歓心をを買おうとの下心があったのである。
しかし、ビルにはサリーという恋人がいた。サリーは素直にビルとヘアフォード家に入る事を喜んだが、だんだんと事情がわかるにつれて、このままだとビルの折角のチャンスをつぶすことになるので、自分は身を引いた方が良いのではないかと考えるようになった。
一方、遺言執行人の公爵夫人とジョン卿は、ビルの処遇について意見が対立していた。ジョン卿は「ビルを教育しても無駄である」と言うが、公爵夫人は「レッスンを続ける」と言い、既にビルの伯爵家継承披露のパーティーを催すべく招待状を発送したというのであった。そして、ビルの貴族としてのレッスンは続行された。
遂にその成果を問う日がやってきた。一族の不安をよそに、ビルは堂々とふるまい一同をホッととさせたのであった。
しかし、サリーがランベスの人間を連れてやってきて、自分が如何に上流社会にそぐわないかを示した時、ビルの心は激しく揺れ動くのであった。
パーティーは夜は明けて、公爵夫人は未だメイフェアに留っているサリーに「ビルを愛していない」と言って去ってくれるように頼み、サリーもビルのためにそれを承知してランベスに戻ってしまう。
それを知ったビルはサリーを追ってランベスまで行くが、その時既にサリーはジョン卿の手で何処かへ移されていた。
そこでビルは大金を投じてサリーを捜させるが、彼女の行方はわからない。これは公爵夫人のせいに違いないと怒ったビルは、サリーと結婚できなければ、伯爵家の世継ぎになるのは真っ平と、荷物をまとめて家を出ようとする。その時、ジョン卿が美しい貴婦人を連れて現れた。それをサリーであった。
彼女はジョン卿の計らいで貴婦人修行をしていたのであった。
こうして結ばれた二人を、ジャッキーとジェラルド、公爵夫人とジョン卿の二組のカップルが祝福するのであった。
■主な配役
ウイリアム・スナイブスン(ビル、ロンドンの下町ランベスで見つかったヘアフォード家の世継ぎ)・・・天海祐希
サリー・スミス(ビルの恋人、ロンドンの魚市場で働いている)・・・麻乃佳世
ジョン・トレメイン卿(公爵夫人の友人で、遺言の執行人。公爵夫人を憎からず思っている。)・・・久世星佳
ジャクリーン・カーストン(ジャッキー、公爵夫人の役)・・・真琴つばさ
ジェラルド・ポリングブローク(公爵夫人の甥、ジャッキーのフィアンセ)・・・姿月あさと
ディーン・マリア公爵夫人(ヘアフォード家の女主人、遺言執行人)・・・邦なつき
パーチェスター(ヘアフォード家の弁護士)・・・汐風幸
他〜
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