◆「Tokyo Melody / 坂本龍一」解説
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〜ビデオにインクルードされているインナーより〜
『"Tokyo Melody"
は坂本龍一のキャリブレーション1984』
"Tokyo Melody"
は坂本龍一の日常をフイルムに収めた初めての映画である。ピアノを弾く、譜面を書く、フェアライトを操る、レコーディングを行う、街を歩く、食事をする、くつろぐ、苛立つ、笑う、考え込む・・・そんな坂本龍一の素顔が、ほとんど無防備のまま記録されている。たとえば自宅のピアノで矢野顕子と「東風」を連弾するシーンなど、今まで見ることの出来なかった彼の一面である。
もうひとつ、この時期の坂本は、後にアルバム「音楽図鑑」として結実する様々なフラグメントを抱えて、1日の大半をスタジオ・ワークに費やしていた。その意味でこの映画は、「メイキング・オブ・音楽図鑑」になり得ている点が興味深い。
しかし、これだけのファクターでは、"Tokyo Melody"
が各国のフィルム・フェスで非常な注目を浴びたことの説明にはならない、コラージュ風に、しかもかなり落ち着いたスピードでインサートされるメディアの中の坂本
(映画「プロパガンダ」「戦場のメリークリスマス」、TVコマーシャル、ビデオ、ポスター等)、そして東京の風景、人々・・・されらが確実に時代を切りとっている。このことが大きい。
「すべては同時代的であらざるを得ない」という坂本龍一の言葉通り、"Tokyo
Melody"
は「1984年5月」という時点における坂本龍一の東京の、日本の、各々のポジショニングというものをものの見事に目で観せてくれる映画なのだ。
プロデューサー: ジャン・ロジェ・サンネ
監督: エリザベス・レナード
制作: INA(フランス国営オーディオ/
ヴィジュアル・インスティチュート)
制作: ヨロシタミュージック
出演: 坂本龍一、矢野顕子 他
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