◆「「FANTASY」Hong Kong・New
York・Thailand / レ・ピッシュ」解説
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〜ビデオにインクルードされているインナーよりお届け!
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例えば。「私はレピッシュのライブを毎日毎日見続けても絶対飽きない自信がある」という人がいたとする。彼女にとってレピッシュのライブは、どんなテレビよりも映画よりも小説よりも、そしてある時は恋愛よりも、圧倒的にドラマティックかつスリリングなものだったりするわけで、ついつい「もしとんでもない大金持ちだったら、ライブ見たさに全国津々浦々追っかけできるのになぁ」などと本気で考え込んでしまうこともある。他人はそんな彼女にむかって、「そこまでレピッシュが好きか」とツッ込みを入れたくなるらしいが、私には彼女の気持ちがよくわかる。とても他人とは思えない。だって。レピッシュのライブにはロックバンドならではの醍醐味が、これでもかっつーぐらい詰め込まれているのだから、夢中になって当たり前。むしろ、黙って素通りできる人がいる方が腑に落ちない。何が起こるかわからない緊張感。ステージ後半になっても衰えることのない疾走感、ひねくれた詞とねじれた曲が生み出すトリップ感、お笑いとシャレっ気が紙一重になったバカバカしいまでのカッコ良さ・・・まさに、血沸き肉踊る快感のエッセンスがグワシャッと凝縮された至福のひととき、がそこにはある。まぁ、ぶっちゃけた話、ステージ上の5人から目が離せないのだ。離すヒマがないというか、離す鍬を与えてくれないというか、とにかく身も心も釘付け状態になってしまう。よくカメラマンの人が、「レピッシュのステージはどこにシャッター・チャンスを定めておけばいいのか、全然わからない」と口々に嘆いているが、ホントにそうなんである。気が抜けないんである。・・・でも、そこがたまらなく魅力的だったりするのだけど。レピッシュのビデオを作る人はキツイだろうな、と思う。極端な言い方かもしれないが、ただ5人が集まって演奏しただけで、充分サマになるし、ドラマができあがってしまうのだから、ヘタに手を加えたら彼らのパワーを半減させることにもなりかねない。かといって、演技で勝負できる器用さはあいにく持ち合わせていないので、ストーリー仕立てにもできやしない。うーむ、ミもフタもない。しかし。こうしたモロモロのハンディがあるにもかかわらず、レピッシュのビデオはオモシロイ。何故か。それは、スタッフに
"愛"
があるから、だろう。どうしたらメンバーが一番カッコ良く見えるのかを真剣になって考えているからこそ、ベスト・ショットをフィルムに収めることができるのだ。素材をいかに生かすか、生かすためにはどうしたらいいのか、スタッフの努力の結晶がここにある7編だと思う。個人的には、楽器持たせて演奏させりゃあ、ヘタな役者よりもよっぽど
"役者しちゃう"
フロント3人の体質をうまく引き出した「CONTROL」、ニューヨークの夜景をバックに、演奏せずにマグミが歌うだけのシーンが静かに続く「FANTASY」の2編が、レピッシュの動と静の部分を見事に描きわけた秀作だ、ということですごく気に入っている。レピッシュのビデオ・クリップ集は、これで3本目になる。どれもがスタッフの愛に支えられた作品集だが、ひとまずやれることは全部やった、という感じがしなくもない。この3本で、レピッシュ・フィルムの創生期を作り上げた今、気になるのは次なる展開だ。ファンの飽くなき期待にバーンとこたえてくれるであろう第2期作品を楽しみにしつつ、さぁ、もう1回最初から見るか!!!
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