◆「頭突きの歴史 / カステラ」解説
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この「頭突きの歴史」はカステラのビデオクリップ集となっています。曲と同様、爆裂個性が全開ですよ!! ではビデオにインクルードされているインナーからカステラ各メンバーによる楽曲解説をお届けしましょう。
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<< ビデオ買ってよ
>> 福地伸幸
超大型新人、カステラのメジャーデビューのプロモーションビデオが、これだ。何といっても世界最大のCBS・ソニーレコード(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)
なんだから、アメリカ映画みたいに巨大資本を投入して、大規模なマーケティングリサーチ及びち密なイメージ戦略によって、すさまじいプロモーションが当然なされると思っていた。でもこのプロモビデオを今見ていると、超大型新人と思ってたのは、ぼくだけだったのかもしれないと思えて来た。かっこ悪いメンバー、といって笑えるわけでもない。チェッ
!!
後半に私の股間にモザイクが入ってるけど、別にデビュー時からモザイクで勝負することもないじゃないか。アイドルは、ブリッ子→水着→セミヌード→オールヌード、と進むのに、はじめからモザイクじゃ、AVギャルといっしょだ。でもAVギャルといっしょっていうのは、うれしいな。バンザイ。やっぱりカステラは超大型新人だった。はじめから、さらし物だった。ハッハッハッ。でもAVギャルは、すぐ引退するぞ・・・。
<< 石油ストーブ >> 長谷川裕
カステラの通算3枚目、メジャー2枚目に、あたる傑作アルバム「鳥」からのシングル曲が、この
" 石油ストーブ"
に決定された時、ビデオのスタッフの人々は頭を抱えて考え込んでしまったといいます。このまるで緊張感のないのんびりした曲を映像化するには、どんなロケーションが有効なのだろうか
?
スタッフとメンバーの命がけのミーティングの末、ヨーロッパあたりの絢爛豪華な城の中で演奏するのがいいという、どこから発想されたのかさっぱりわからないアイデアが出され、みんなは口々に
" いいぞ、いいぞ " と叫び納得したのだった。
それからはもう、関係者一同、超人的パワーでこのいちだい映像プロジェクトに没入していった訳です。世界中を飛び回り探し回ったスタッフが、ドイツの山奥に古びた城を発見してきました。そこをロケ地に決定して長期間レンタルすることになりました。
一方メンバーは、メンバーでダンスの猛練習を100時間連続でするくらいの心意気でがんばっていました。(ちなみにこの時のダンスレッスンの先生もこのビデオクリップの終わりのほうにちょこっと出演しています。)
いよいよ撮影の日になりました。ドイツまでいく準備をして、パスポートを持って私は撮影現場へ出発しました。ドイツは意外と近くて品川駅から京急に乗り換えて、3つ目くらいの駅にありました。日本語もしっかり通じるようなので少し拍子抜けしました。メンバーは、思ったよりもリラックスして、演奏シーンを撮ることができました。ちなみに私の顔が少しむくんでいるようですが、当時は自覚していませんでした。最後に近所の商店街に行って大あばれして撮影は終了しました。
このようにして、すばらしいプロモーション・ビデオが完成した訳です。わずか3分30秒足らずの作品ですが、あなたをめくるめく映像世界へと誘うことを、お約束します。
<<ビデオクリップ HAPPY について>> 大木知之
カステラにとって本格的なビデオ制作は「石油ストーブ」につづき2回目となるこの作品。前回の「石油ストーブ」ではその曲調ゆえに「静」のイメージがアピールされた。一転してこの「HAPPY」はなぜか舞台は「便所」である。大昔につくられた曲の再発ということからくる、照れかくしなのか、はたまたもともとこの曲のイメージが「便所」だったのかはカステラの理解者のあなたにはとっくに明らかでしょう。そうです、答えは後者です。
この曲をつくったのはBASSの福地伸幸氏であります。彼は顔も性格も大ゲサですが、その人生もダイナミックなものです。私の推測するところ、彼はこの「HAPPY」をつくっていた当時、いわゆるハッピーではなかったように思えます。女性関係はもちろんのこと家族内での自分の位置、ファミコンのゆきずまり等々、さまざまな葛トウが彼のまわりをうずまいていたはずです。それなのに・・・。いや、それだからこそ彼は胸を張って「HAPPY」をつくったのです。ここで勘ちがいされては困るのが、不幸な身の上をごまかして幸福を歌うことで他人の同情を買おうなどとゆうことを彼はたくらんてらはいないのです。彼は本当に「HAPPY」だったのです。不幸とか苦痛とかでエクスタシイに達することのできる体質、ま、ひとことで言えばマゾなのです。そして出来あがったこの歌なので、やはりその制作意図どおり、マゾ的な映像は不可欠だったわけです。彼を含む我々カステラ4人衆は狭い便所にとじこめられます。暑いです。苦しいです。すなわちエクスタシィなのです。
さて、無責任にディレクターの怒声がひびきました。「はい!
明るく!
元気に!」暑い狭い苦しい便所に、大きな男が4人です。もうこれは彼(フクチ)
以外の人間にはフツウの地獄なのですが、さすがMの彼はさわやかな快感にふるえておりました。ハナにつめたチリ紙をふっ飛ばしたのもその表れです。彼の言うところによるとあれは「射精」を意味するそうです。ところがこのビデオクリップにおいて福地以上にエクスタシィに達している人がいます。そう、長谷川です。曲への適応能力が高い長谷川氏は作曲者のフクチ以上にあの狭いステージ(便所)
で絶頂に達しているようです。一度見たらもう一度見てみましょう。
<< チェンジちゃんのテーマ >> 文責 福田建治
このビデオが最も新しいものなので、当然ですが一番よく覚えています。
まず第一に議論の対象となったのは「曲が短か過ぎて、プロモーション・ビデオとしての効果が薄い。」という事でした。この議論の結論は「オーケストラのイントロも省いて、とにかく短い曲、あっという間に終わる曲という事を強調するいそがしいビデオにしよう。」という、何の解決にもならない、よくわからないものになってしまいました。
次に決定された事は「合成ものにする」という事でした。つまり、ビデオの撮影は「4人同時」に撮影する場面はなく、すべての場面が「個人」で撮影する事になったのです。この時私は、「初めての経験なので不安だな」と感じたのですが、撮影のタイム・テーブルを見てほくそ笑みました。そのタイム・テーブルは何と、
1、Vo・G・Bを個人で撮影する
2、Drセットを組んでDrを撮影する
3、セットを変えてVo・G・Bを撮影する
というものだったのです。これを見たDr担当の私が考える事はただ一つ、「これは遅刻できるな」と言う事です。撮影当日、実は10時入りだったのですが、私が現場に到着したのは何と3時でした。それにもかかわらず、撮影は何の問題もなく進み、私の出番は5時には終わっていました。たいへん楽な1日でした。
撮影に関しては、全員が、自分の気持ちを盛り上げるのに苦労していたのを覚えています。個人撮影はバンド・マンにとって難しいものなのです。
出来上がったビデオは当初の狙いどおりに大忙しのあわただしいビデオに仕上がっています。一拍ごとに画面の変化する大いそがしの画像は、曲の短さにもかかわらず心の深層に残ってはなれない理想的なプロモーション・ビデオに仕上がりました。
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ではでは頭がブッ飛ぶほどのインパクトで迫るカステラ「頭突きの歴史」をどうぞ御堪能ください!! ドッカーンと一発、脳味噌にカンフルを!!
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