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夷撫悶汰(いヴもんた)レイト・ショー 〜長距離歌手の孤独 in Jazz Cafe〜 / 桑田佳祐


■ビデオ収録曲
●第1幕
1.As Time Goes By
2.It's Only A Paper Moon
3.Blue Moon
4.My Funny Valentine
5.'Round Midnight
6.Mack The Knife
7.Lullaby Of Birdland
8.Misty
9.Cheek To Cheek
10.You'd Be So Nice To Come Home To
11.Smoke Gets In Your Eyes
12.Star Dust
●第2幕
13.Night And Day
14.Lover, Come Back To Me!
15.Satin Doll
16.Puttin' On The Ritz
17.Hello, Dolly!
18.Play A Simple Melody
19.L-O-V-E
20.I Could Have Danced All Night
21.There's No Business Like Show Business
22.Dream
●第3幕
23.Pretend
24.Santa Claus Is Comin' To Town
25.White Christmas
●Encore
26.Take The 'A'Train
27.Unforgettable

■発売元・ビクターエンタテインメント
■1997年発売
■収録時間109分
■定価5,607円
■種別・ライブ

◆「夷撫悶汰(いヴもんた)レイト・ショー 〜長距離歌手の孤独 in Jazz Cafe〜 / 桑田佳祐」解説 〜

 '96.12.1(sun)・2(mon)・3(tue) at パシフィコ横浜国立大ホールにて収録された 一風変わったサザン・オールスターズ桑田佳祐のソロライブです。以下ビデオにインクルードされているインナーよりお届けいたします。

●Yves Monta (夷撫悶汰)・・・桑田佳祐
●BAND "The Amazing Art of Angels"
Band Master・・・山本拓夫
Guitar・・・小倉博和
Bass・・・樋沢達彦
Piano・・・島 健
Drums・・・村上"ポンタ"秀一
Saxphone・・・小池修, 近藤和彦, 吉永寿, 竹野昌邦
Trumpet・・・荒木敏男, 西村浩司, 河東伸夫
Trombone・・・村田陽一, 広原正典, 山城純子
Percuccion・・・海沼正利
Chorus・・・前田康美, 清水美恵

この夜の主役はいったい誰だったんだろうと、それを考えていた。
夷撫悶汰に扮した桑田なのか、それとも、ステージの上に存在した、夷撫悶汰そのものだったのか・・・。
桑田が、ジャズ・ボーカルに挑戦する。観る前に伝わってきたのは、そんなことだった。しかし、ビートルズを出発点に、ロックで育った彼が、果たしてどうジャズと付き合おうとするのか、それは興味深いことだったが、ロックの先輩格のこの音楽に敬意を表するあまり、普段のしなやかさが失われてしまうなら、それは御免だと、実はそんな心配もした。
でも、実際に彼とステージを共にしたのは、殆どが付き合いのある連中だった。
つまり桑田の音楽環境の、そのキャパシティの広さが示されたのだ。
ミュージシャンは皆、誇らしげ。そして桑田自身の中に、前々からこれらの音楽が充分しみ込んでいたことが、やがて判明した。
彼のボーカルは、時に奔放で、時に流麗だった。とはいえ、サザンのボーカリストが、いきなり「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を歌い始めては、客席も戸惑うことだろう。そこで彼は、夷撫悶汰という、まったく別のパーソナリティに扮してみたのだ。
狂言回し的にステージを盛り上げたSETの小倉久寛と絡んで、適宜ギャグなども加え、客席を飽きさせず、そしてそのことにより、自分にまとわりつく先入観を払拭し、ステージの上でリラックスしようとした。
夷撫悶汰は、うだつのあがらぬヨレヨレのアル中の歌手、という設定だ。
彼は栄光から転落し、今は場末の馴染みのジャズ・クラブで酔いにまかせて歌っている。でも、普段は屍のような男だが、輝く瞬間がある。
それは、マイクを握り、歌っている時である。主人公をこの状況に追い込むことで、桑田は音楽の素晴らしさを、ダイレクトに伝えようとした。
それが、いかに生きる支えになるのかを、身をもって客席に示した。
そして見事、成功した。次々と歌われた曲は、たとえジャズを知らなくても、どこかで耳にしたことがある「スタンダード曲」ばかりだった。
誕生以来、無数のシンガーに歌われ、数えきれない共感を得てきた、そんな歌ばかりだった。
そて、もうお分かりだろう。この夜の主役は、もちろんこれらの歌達だった。
「イッツ・オンリー・ア・ペイパー・ムーン」や「ドリーム」や「プリテンド」の中にある、普段のメッセージ・・・。
 それがこの夜の主役だった。

夷撫悶汰(いヴもんた)レイト・ショー 〜長距離歌手の孤独 in Jazz Cafe〜 / 桑田佳祐 

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