◆「生還LIVE 〜LIVE at The Moore /
マッド・シーズン」解説 〜
●ビデオインナーより
『パール・ジャム+アリス・イン・チェインズ+スクリーミング・トゥリーズという信じられない夢の競演が実現!!
』
●Mad Season:
Layne Staley
Mike McCready
Barrett Martin
Baker
こいつは驚いた。マッド・シーズンのライヴ・ビデオがリリースされてしまうなんて。時代とは恐ろしいものだ。だって、いちプロジェクト・バンド、出したアルバムはたったの1枚、しかもメンバー各々のメイン・バンドでの都合があるからライヴ活動らしいライヴ活動はほとんど皆無、そんなバンドのライヴ・ビデオなのだから。しかし、参加してる顔ぶれでは、それも当然なのだ。首謀者であるマイク・マクレディ(g)はパール・ジャムから、歌い手のレイン・ステイリーはアリス・イン・チェインズからと、当代ロック・シーンを賑わす大物バンドのメンバーが顔を突き合わせたマッド・シーズンが相手では、レコード会社もリリースに欲が出よういうもの。そもそも「生還/
Above」というアルバムを作って出せたこと自体が、大物によるプロジェクト・バンドの証なのだけれども。
そんな背景はともかく、いちファンとしてはこのリリースを素直に喜びたい。何しろ前述の通りろくにライヴをやっていない彼らの状況を考えてみれば、貴重なことこの上ない。加えてパール・ジャムに関しては、動く姿が拝める素材は過去、公式には発表されていないことも貴重度をさらにアップさせるワケだ。大物、万歳!
だ。
(中略)
・・・まあ、いい。このビデオを購入した人達はマッド・シーズンを好き、あるいは少なくとも興味を持っている人達なのを忘れて、本題から逸れてしまった。で、この『生還LIVE/
LIVE AT THE
MOORE』だが、一応資料的なことを記すと、これはタイトルが示す通り、シアトルにある『MOORE
THEATER』というクラブにて収録されたライヴ映像がベース。若手バンドの登竜門的ライヴ会場で、パール・ジャムの第1弾ビデオ・クリップとなった"Alive"
で観られるライヴ風景も、アリス・イン・チェインズがデビュー作『フェイスリフト』の後に発表したライヴ・ビデオ『LIVE
フェイスリフト』も、この『MOORE』で収録されたものである。そして、その7曲分のライヴのあとに加えて収録されている"生気なき死者/
Lifeless Dead"のスタジオ・ライヴ、これは『Self Pollution
Radio』というラジオ番組に出演した時の映像。『Self Pollution
〜』とは、今年の1月8日、パール・ジャムのエディ・ヴェダーが衛星のラジオ局を乗っ取って(!?)・・・いや、正式には彼がホストを務めた生放送の4時間番組の名だ。サウンドガーデンの新曲オン・エアや、元ニルヴァーナのクリス・ノヴォゼリックによる自著からの一部朗読など、流血大サービスの"シアトル・スペシャル"な内容の番組の中で、マッド・シーズンもライヴを行ったのだ。彼らはその出演以前にもライヴは経験済みだったものの(当時は連続殺人犯にちなんだGacyBunchというバンド名で)、この時バンドの正式なお披露目だった、といういわく付きの映像である。
(中略)
うーん、やっぱりこのビデオ、リリースしてもらえて本当に良かった(笑)。惜しむらくは、マーク・ラネガンとレインのデュエットが冷気と熱気の混ざり合ったような感覚を起こさせるアルバム随一のナンバー"自我生還/
I'm Above"と、ブルース・エッセンスを注ぎ込んだ"作為の赤/
Artificial
Red"が収録されていなかったこと。でもまぁ、文句は言うまい。一歩間違えばただの道楽にも姿を変えかねないサイド・プロジェクトという環境でありながら、しかし、各メンバーの技と個性の結実をここに見せつけてくれたのだから。
(以下略)
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