◆「"FACELESS MAN" LIVE Vol.1 /
ブーム」解説 〜
御存知大ヒット曲「島唄」で有名なザ・ブームの1994年1月13,14日に行われた日本武道館ライブを収録したのがこのビデオです。タイトルが「"FACELESS
MAN" LIVE Vol.1」となっており
Vol.2もあるのですが、「続き物」っていう感じではなく単体で見ても充分楽しめる作品制作となっていますよ! ではこのビデオにインクルードされているインナーから詳細解説をお届け致しましょうか!
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『ルーツレスたどればオリジナリティー!
』
さよなら/ ありがとう/ 愛しい友よ/ 嵐が去ったら/
ここで会おう/ 何かができる気がする/ 君にも僕にも/ きっと/
だから笑ってグッドバイ
'91年7月6日、全国ツアー "SPECIAL"
最終公演(東京NHKホール)でラストに歌われた「サラバ」の一節だ。TOUR
"FACELESS MAN"
を語るには、やはりここから始めなければならないだろう。
「ケンカするつもりで作った」と宮沢が語った4th.
アルバム『思春期』と、そのコンサート・ツアー "SPECIAL"
で、それまでに内包してきた問題意識やメッセージを全て放出した
THE BOOM
は、突然、約半年間のバンド活動休止期間に入る。"歌うべき"
テーマや音楽的なアイデアの枯渇によるSOS発信・・・?
当初は再集結の予定すら立てていなかったという事実が、ことの重大さを表している。まさに緊急停止といえる事態だった。
周囲の状況はともかくとして、デビュー以来初めて訪れた膨大な時間を有意義に使うべく、メンバーは早速それぞれの目標を設定し、個人活動を開始する。小林は自らの音楽的ルーツの地であるロンドンへ単身ギター留学、山川は信頼するベーシスト(濱瀬元彦氏)が主宰するスクールでテクニックと鍛錬と理論の学習、栃木はチト河内氏を師として、マンツー・マンでドラムの基本に立ち返った練習を繰り返すという日々。そして、活動を共にしてきたメンバーやスタッフとの集団作業から離れて、文字通り裸になった宮沢は、シンガポールが生んだスター、ディック・リーのポップ・オペレッタ
"ナガランド"
への参加を決意。唯一の日本人キャストとして、英語の歌、ダンス、演技、いずれも初ものづくしの挑戦だった。
のべ3ヶ月半という長きにわたるアジアの隣人達との共同作業の中で宮沢は、充実感と連帯感を味わうと同時に、劣等感にも苛まれ、精神的にも振幅の激しい日々を過ごす。
「始めのうちはコンプレックスの固まりだった。僕以外はほとんどがイングリッシュ・スピーカーなわけで。日本にいれば自分もBOOMっていうバンドのシンガーだって言えるけど、一歩海外へ出てみれば、そんなこと全く通用しないというか、みんな本当に歌もダンスも上手くて、僕の知らなかった才能がゴロゴロしていた」(宮沢)
とはいえ、"ナガランド"
日本公演も、宮沢個人も、きわめて好評のうちに9月14日で幕を閉じ、それからしばらくした、香港公演直前の10月上旬。彼は1人訪れたバリ島で、かつて経験したこともないほど強烈なインスピレーションを受けることになる。
「ガムランを見学したり、海を眺めていたら、突然、本当に、メモするヒマもないくらいアイデアが次から次へと沸き出してきて。その時初めて
"早くこのアイデアをBOOMで具現化したい"、そう思った」(宮沢)
『FACELESS
MAN』は日本を遠く離れた赤道直下の島、バリで受胎した。
それからというもの彼は、シンガポールで手に入れたという小さなガット・ギターを片手に、バンコック、ホーチミン、ニューヨークといった街を放浪しながら、その訪れた先々で新曲を産み落としていく。
'92年1月、ツアー "気に入った曲ができたから"
のリハーサルと、シングル「月さえも眠る夜」レコーディングのため、メンバー再集結。アコースティックな色合いを前面に打ち出した
"気に入った曲ができたから" では、ベスト・アルバム『THE
BOOM』に収録されているナンバーに加え、矢野顕子、坂本龍一から、ポリス、ジミ・ヘンドリックスまでをカバーして、彼らの音楽原体験を自分たちなりの解釈で披露してみせた。
THE BOOMにとって、"ルーツ"
とは、いったい何なのか。彼らがアマチュア時代から抱えている、その難題を再考することこそが、5枚目のオリジナル・アルバムに取り組むにあたっての最重要テーマだった。
現在、日本のミュージック・シーンを形成しているジャンルやスタイルといったものは、その源をたどっていくと、足もと(日本)
ではなく、欧米のポップス、ロックへ行き着いてしまう。かといって、なんでも
"あり"
の'80年代に思春期を過ごし、'90年代に活躍する彼らにとって、あくまでも1つのジャンルに固執し、そのスタイルに成り切ることによって、それを自らの
"ルーツ"
としていこうという、いわゆるロック的なステレオタイプも、正直言ってピンとこないだろう。彼らは、そんなメビウスの輪のようなジレンマに対して、"俺たちにはルーツ(=顔)
なんてないんだ" と言い放った。それが『FACELESS MAN
』だった。
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ではアジア・パワー全開の、ザ・ブームのアジア大陸のような壮大なライブショーを存分に御堪能くださいませ。アジア風大規模セットにアジア風民族衣装のダンサーも大人数出演していて、ザ・ブームのイメージを最大限に表現していますよ!! 照明も素晴らしい!!
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